そもそも裁判とは?(家事事件と民事事件の違い)

ひとことで裁判というが、結構いろいろな意味で使われている。訴訟と同じ意味で使われることもあるが、正しくは訴訟と裁判とは、意味が違う。そういう意味では、現在このサイトのコンテンツの中心は、民事訴訟だから、自分で裁判.comというネーミング自体が不正確とも言える。もちろん、ゆくゆくは名実ともにあらゆる意味での裁判を取り扱っていきたいとは思う。
そこで、まずは、裁判のアウトラインをここでご案内しておきたい。
そのうえで、本記事では、裁判の全てを網羅するのではなく、民事事件と家事事件の違いにスポットを当てたい。
(ここで民事事件、家事事件と「事件」という言葉を当たり前のように使っているが、この言葉に一般のかたは抵抗があるだろう。事件といえば、一般には刑事事件をイメージするから。日常用語としての事件は刑事事件を始めとして、一大事を意味するが、裁判所においては、事件とは、そこで取り扱うひとつひとつの案件を指すにすぎない)
民事事件は、ルールに従って原告被告双方が主張・立証を行い、裁判官の判断を求めるもの(もちろん、和解などで終了することもある)であるのに対して、家事事件とは、要は相続や離婚などに関する家庭に関する争い(家庭裁判所が担当)だから、大体はまずは話しあいましょうということで調停から入るものが多い。審判と言って判決と同じようなものを裁判官が下す場合もあるが、その基準は、民事裁判のような一定のルールによるものではなく、裁判官個々人の裁量の余地が大きいとも言える。それはもちろん裁判官の個性によって、判断が変わるという意味ではなく、主張や証拠という点についての扱い方が違うということだ。
要は、その原理が民事事件と家事事件とでは、根本的に違うのだ。
裁判所を舞台に行われるという点で、民事事件も家事事件も同じように考えてしまう人がいるが、明らかに間違いである。
家事事件のほうが、圧倒的に「自分でする」のになじみやすいというか、そもそも本来、自分ですることが想定されているとも言えるだろう。もちろん、家事事件でも弁護士の代理人が付く場合はある、しかし、その場合でも本人も裁判所に出向くことが原則となっている。
これに対して、民事事件は、前述したように一定のルールのもとに展開されるので、本当は自分でやるのには向いていないのである。なぜなら、そのルールを体得するのは一朝一夕にはできないからだ。そのためにプロがいるのであり、民事事件は本来プロ向きの事件である。
その意味で、このサイトにおいても、一から十まで自分ですることをおすすめしていない。
代理人がいない場合でも、書類作成を司法書士に依頼するとか、それもできない場合は、せめてこういうサイトで可能な限り、勉強をお願いしたいということだ。そういう目的を持って本サイトを開設したが、まだまだ試行錯誤は続くので、暖かく見守っていただければ幸いである。